GMO ADPARTNERS PRESS 2023年12月期 通期

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TOP INTERVIEW社長インタビュー

収益基盤の安定化、コスト体質の適正化。AIを活用する組織づくりを進めていきます。

012023年12月期の業績の振り返りについて

Q1
2023年12月期の振り返りをお願いいたします。

2023年は新型コロナウイルスによる行動制限が緩和されて実体経済は回復した一方で、原材料価格の高騰などで物価が上昇し、経済環境が非常に不安定な1年であったと思います。

これにより、旅行や航空・鉄道やイベントといった、人の移動やコト消費に関わる業種のお客様の経済活動や広告需要は回復した一方で、米国のIT企業にみられるように、コロナ禍での採用過多による人的コストの削減や、原材料価格の高騰に伴う値上げ・各種費用の削減などにより、広告費用を削減するお客様も多くいらっしゃいました。
広告市場のプレイヤーにとって、総じて市場環境は不安定な1年であったと思います。

当社もこうした変化の激しい環境を踏まえ、組織の統合によるリソースの最適化やシナジーのさらなる創出を図るなど、コストを削減してAIを活用する組織体制を構築するための取り組みを進めてまいりました。しかしながら、既存のお客様の予算の減少や広告単価の低下、上期におけるスポット広告費の発生などの要因が重なり、株主の皆様のご期待にお応えすることができない結果となってしまいました。

02連結グループ会社の統合について

Q2
「組織の統合」というお話がありましたが、2023年は連結グループ会社2社(GMO NIKKOとGMOアドマーケティング)の統合がありました。この背景や目的を教えてください。

今回統合する2社の事業内容をご説明しますと、GMO NIKKO(以下、「NIKKO」)はインターネット広告代理事業を、GMOアドマーケティング(以下、「アドマーケティング」)はアドテクノロジー事業を行っています。

先ほどの振り返りでも少し触れましたが、2023年は市場環境が不安定な年でしたので、NIKKOはお客様の予算増減の影響を大きく受けましたし、アドマーケティングはアドテク市場の不調により、売上が伸び悩む状況となっておりました。こうした2社を統合することによって、安定した収益基盤を築くことが狙いです。

具体的には、NIKKOは営業力を、アドマーケティングは開発力をそれぞれ強みとしていますので、お客様のニーズを土台として、市場競争力の強い自社商材の開発を進めていくことで、市況に左右されないストック収益の構築を目指しています。

また、シナジー発揮による自社商材の開発だけでなく、両者で重複するリソースを統合することによる人財配置の適正化や、管理リソースの削減も効果として考えています。

V字回復を目指す

概要

  • ・NIKKOはインターネット広告代理、アドマーケティングはアドテク商材の開発・販売が中心
  • ・いずれも独自の強みを持っているが、市場環境の変動を受けて、それぞれの強みをより引き出すような組織体制の変革が必要だと判断した
  • ・製販一体の体制をつくり、既存サービスの強化からはじめ、新たな自社商材の創出を目指す
  • ・お互いのリソースを余すことなく活用することで、クロスセルの強化による売上の拡大だけでなく、コストや業務の効率化による利益率の改善も期待できる

032024年12月期の展望と戦略について

Q3
2024年の市況や、GMOアドパートナーズの状況についてはどのような展望でしょうか?

2024年の市況ですが、昨今の国際情勢など、経済環境に変動をもたらす状況は続いていますので、景況感に左右されやすい広告業界は、引き続き不透明な状況が続いていくものと考えています。

こうした状況下で、まず重要なのは市況の変動に耐えるための収益基盤の安定化、コスト体質の適正化とAIを活用する組織づくりであると捉えています。ついては業績の回復・安定化を図るべく、まず前述の統合による効果の発現を第一に進めております。ひとつに自社商材の開発による競争優位性の確立とストック収益の構築、もうひとつはリソースの適正化とコストの削減です。

また、統合によるものだけではなく、2023年より進めているエリア拠点(地方・海外など、東京以外の拠点)の活用による生産性の向上を継続するとともに、昨今市場に大きなインパクトを与えているAIを活用することでの業務効率性の向上も取り組みを続けていきます。

売上面では、安定して収益をもたらす商材を作ることももちろんですが、営業活動においても組織面・戦略面における見直しを行い、新しいお客様とのお取引を増やしたり、既存のお客様からより多くのお引き合いをいただけるような体制を強化していく方針です。

概要

  • ・統合した2社のシナジー発揮・自社商材の強化・新サービスの開発
  • ・さらなる効率化とコスト削減
  • ・エリア拠点・AI活用による業務オペレーション改革・生産性の向上
  • ・営業戦略の見直しと、新規顧客の獲得・既存顧客の取引拡大

042024年以降の新たな取り組みについて

Q4
2024年以降、戦略を実現するための新たな取り組みはありますか?

先ほども触れましたが、まずAIの活用を進めていきます。我々が所属するGMOインターネットグループでもAI活用を推進するためのプロジェクトを立ち上げており、AIの活用による業務の効率化は2023年後半から、当社の非常に大きなテーマとなっています。

具体的には広告に使用する画像をAIによって量産したり、広告制作プロセスをAIがアシストするなどの取り組みはすでに始まっており、例えば人間が行うと120分以上必要とする作業をAIが担当することによりたった5秒で行うことができるなど、生産性の向上に着実な成果を上げています。

2023年の11月には、AIを活用してSEO対策の実施・施策のアシスタントを行うツール(AI SEOディレクター)をリリースしたり、ChatGPTのエンジンをより自分用にカスタマイズして使うことのできるツール(Your-AI)のβ版をリリースするなど、商材のラインナップにもAIを活用したものを展開しております。 組織の統合・最適化によって生まれたリソースをこうした新規商材の企画・開発に振り向けることで、今後の成長の柱となる事業を創り上げていきたいと考えております。

  • AI SEOディレクターはこちら
  • Yout-AIはこちら

また、M&Aを積極的に行うことによって新規事業の強化や、一緒に事業を創出していただける仲間を増やすことも前向きに検討をしておりますが、こうした動きはお相手となる会社様があってのことですので、まずは足元の効率化や営業活動の強化、新規商材の企画などを通して、着実に業績の回復を目指していく方針です。

概要

  • ・AIをサービス開発に積極的に活用。既存サービスの強化・新サービスのリリースを推進
  • ・M&Aも含めた新規事業・新サービスの開発に注力
  • ・業績回復は既存事業の再構築から着実に

05株主の皆様へメッセージ

Q5
最後に株主の皆様へ、メッセージをお願いいたします。

2023年12月期においては、業績の下方修正など、株主の皆様にはご心配をおかけする一年となってしまいました。業績の回復と、過去最高益であった2022年を上回るさらなる成長を目指し、全社一丸となって取り組んでおります。

株主の皆様におかれましては、今後ともご指導・ご鞭撻を賜りますよう、何卒お願い申し上げます。

AT a glance数字で見るGMOアドパートナーズ

「人」に着目した会社づくりへ
GMOアドパートナーズの働く環境への取り組み

2023年3月期の有価証券報告書から「サステナビリティに関する考え方及び取組」が記載項目として義務化されるなど、サステナビリティに関する関心は資本市場全体で高まりを見せています。当社は無形のサービスを提供する企業のため、サステナビリティにおける「環境(E)」「社会(S)」「経済(G)」の3つの柱のうち、「社会(S)」に含まれている「人」に特に着目し、いわゆる人的資本の活用にむけ、様々な施策を行っています。今回は、当社の方針・施策の一部をご紹介いたします。

当社では人的資本に関する考え方の根本的要素として、親会社であるGMOインターネットグループの創業の精神である「スピリットベンチャー宣言」に則り、人種・性別・学歴・言語・宗教といったあらゆる差別を排除し、実力本位の人財登用を標ぼうしています。加えて、当社は異なるビジネスモデルを持った企業の集合体であり、企業理念として「ともにつくろう」を定め、公平性・多様性の尊重と、所属にとらわれない連携が重要である、と考えています。それに則り、人財育成方針および環境整備方針として、以下のテーマを定めました。

人財育成方針および環境整備方針 人財育成方針および環境整備方針

上記のテーマに基づき、当社はピアボーナス制度の導入(2023年上期WEB株主通信にて記載)や健康経営の推進・労働環境の適正化、D&I(ダイバーシティ&インクルージョン:性別、年齢、国籍などの違いを尊重し、個性を活かす考え方)推進・障がい者雇用の推進に努めております。D&I推進に向けた取り組みとしては、育児や介護などの「ケア」を念頭においた、柔軟な働き方を支援するためのプロジェクトを推進するなど、女性管理職比率や男性育休取得率の向上を図っています。

2023年上期WEB株主通信はこちら

なお、これらの詳細およびそのほかの取り組みについては当社コーポレートサイトおよび有価証券報告書にも掲載しております。

  • コーポレートサイトCSRについてはこちら
  • 有価証券報告書はこちら

以上の結果として、各指標とも、長期的には徐々に改善傾向にあります。当社は引き続き、働く人全てが活躍できる環境の整備に努めてまいります。

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